※本記事の内容において、正当性を保証するものではありません。最終的な決定は、ご自身の判断(自己責任)でお願い致します。
また、こちらの記事はファイナンシャルプランナー1級の資格を持つ執筆者が制作しております。
近年はつみたてNISAの口座開設数が増えていますが、実際に「つみたてNISAはやめたほうがいい」という声も聞かれます。
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援する制度で、長期的な積立投資を行いつつ年間40万円まで非課税で運用できるメリットがあります。
つみたてNISAは運用益が非課税になるなどのメリットがある一方で、注意するべき点があるのも事実です。
こちらの記事ではつみたてNISAがやめたほうがいいと言われる理由や、具体的なメリット・デメリットなどを解説します。
つみたてNISAがやめたほうがいいと言われる理由
つみたてNISAがやめたほうがいいと言われる理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
以下で、つみたてNISAに対してネガティブな声が寄せられている理由を解説します。
元本保証ではないから
つみたてNISAで購入できる金融商品は、金融庁が「長期・積立・分散投資に適した投資信託(ファンド)」に限定しています。
投資対象は比較的安全性は高く、長期的に資産を増やすことが期待できるものの、元本保証ではありません。
売却のタイミングによっては、投資元本より評価額が下がる「元本割れ」が起きる可能性があります。
元本割れするリスクを嫌い、「つみたてNISAはやめたほうがいい」と意見する人がいる点は知っておきましょう。
短期間で大きく増やしづらいから
つみたてNISAは長期投資を念頭に置いている制度なので、短期間で資産を大きく増やすことができません。
投資によって短期間で大きく資産を増やすためには、今後価値が上がると思われる会社の株式を購入する「集中投資」など、リスクを取った運用が必要です。
しかし、つみたてNISAは少額から行える長期的な積立・分散的な投資方法なので、短期投資には向いていません。
年間の非課税投資枠が40万円と少ないから
つみたてNISAには年間40万円の非課税投資枠があり、その範囲内での投資であれば利益が出ても税金がかかりません。
通常の投資だと、利益部分に対して約20%の税金が発生する点を考えると、つみたてNISAはかなり優遇されていると言えるでしょう。
しかし、年間40万円の非課税投資枠を「少ない」と感じる人にとっては、そこまで魅力的なメリットに映らない可能性があります。
つみたてNISAをやめたほうがいい人の特徴
つみたてNISAは長期的な視点で行うため、短期間でお金を増やしたい人には向いていません。
また、投資にはリスクが伴うことから、元本保証を求める人にも向いていないでしょう。
以下で、つみたてNISAが向いていない人の特徴を解説します。
短期間でお金を増やしたいと考えている人
つみたてNISAは長期的に積立投資を行う制度なので、じっくり時間をかけて資産形成をしたいと考えている人に向いています。
逆に、短期間でお金を増やしたいと考えている人には向かない制度です。
短期間でお金を増やしたい場合は、株式のデイトレードや暗号資産などへの集中投資が適しています。
ただし、株式のデイトレードや暗号資産などへの集中投資には大きなリスクが伴うため、元本を大きく毀損してしまう恐れがあります。
元本保証を求めている人
元本保証を求める人にも、つみたてNISAは向いていません。
つみたてNISAをはじめとした投資には、元本割れのリスクがあるためです。
投資の世界では「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」が鉄則です。
元本保証を求める場合、定期預金や個人向け国債などリスクが低い資産を購入すると良いでしょう。
投資する余裕がない人
目先の生活費を工面するのに精一杯で、投資をする余裕がない人にもつみたてNISAは向きません。
つみたてNISAでは、自分が決めた積立予定日に一定額を積み立てる必要があります。
投資する余裕がないのに投資を行うと、生活費が不足してしまうという本末転倒の事態になりかねません。
つみたてNISAでは、長期間に渡って積み立てるほど利益が大きくなる期待が持てるため、投資余力が生まれてから始めると良いでしょう。
投資信託以外にも投資したい人
つみたてNISAで購入できるのは、金融庁が認めた長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託(ファンド)に限られます。
そのため、投資信託以外にも投資したいと考えている方には、つみたてNISAは向きません。
例えば、個別株式を購入したい場合でも、つみたてNISAでは購入できないため注意しましょう。
つみたてNISAのメリット
つみたてNISAのデメリットを解説してきましたが、つみたてNISAにはメリットも多くあります。
以下で、つみたてNISAのメリットについて解説します。
運用益が非課税
つみたてNISAの最大のメリットは、運用益が非課税になる点です。
通常の資産運用では、利益部分に対して約20%の税金がかかってしまいますが、つみたてNISAであれば非課税です。
例えば、通常の資産運用であれば、10万円の利益が出たときに約2万円の税金を納める必要があります。
しかし、つみたてNISAであれば非課税なので、10万円をそのまま受け取ることが可能です。
税金は投資家にとってコストである以上、非課税で運用できれば効率的に資産形成ができます。
少額から始められる
一般的に、投資を始める際には元手として多額のお金の元手が必要です。
しかし、つみたてNISAは証券会社によっては100円からなど、少額から始めることができます。
いきなり多額のお金を投資するお金がなくても、つみたてNISAを活用すれば無理のない範囲で積立投資を行えます。
気楽な気持ちで資産運用を始められる点も、つみたてNISAのメリットと言えるでしょう。
投資対象は金融庁から評価されたものに限定されている
つみたてNISAで購入できるのは、金融庁のお墨付きを得ている投資信託に限定されています。
「長期・積立・分散投資に適した」と評価されているため、投資初心者でも安心して投資できる商品が用意されています。
日本だけでも5,000種類以上の投資信託がありますが、つみたてNISAでは約200に絞られている点が特徴です。
購入時手数料が0円であるものや、信託報酬が低いものが中心になっており、つみたてNISAにはコストを抑えながら資産運用できる魅力があります。
つみたてNISAがおすすめな人の特徴
資産運用を始めようと考えている多くの人に、つみたてNISAはおすすめできます。
以下で、特につみたてNISAがおすすめできる人の特徴を紹介します。
投資経験を積みたい人
つみたてNISAは少額からの積立投資を想定している制度なので、投資経験を積みたい人におすすめです。
あらかじめ金融庁が長期投資に向いている投資信託を厳選してくれているため、投資初心者でも利用しやすい魅力があります。
毎月一定額を積み立て、投資先を分散させることでリスクを抑えることもできるため、初めて投資を始める人や投資経験を積みたい人でも安心して取り組めます。
コツコツ資産運用したい人
つみたてNISAは、短期投資ではなく「長期的にコツコツ資産運用したい」と考えている人にも向いています。
つみたてNISAは投資額を自分で設定でき、生活費などを鑑みつつリスク管理しやすい魅力があります。
また、少額を積立投資すれば値動きの影響を軽減できるため、投資初心者でも心理的にも取り組みやすいでしょう。
好きなタイミングで自由にお金を引き出したい人
つみたてNISAは長期間の積立を想定していますが、いつでも好きなタイミングでお金を引き出すことができます。
つみたてNISAと似ている制度にiDeCoがありますが、iDeCoは原則として60歳まで引き出しできません。
例えば、つみたてNISAで運用中に「教育資金が必要になった」「入院費用を工面する必要がある」などの事情が起きても、柔軟にお金を引き出して対応できます。
好きなタイミングで自由にお金を引き出せる「流動性」を重視したい方は、つみたてNISAの活用がおすすめです。
十分な投資期間を取れる人
一般的に、運用期間を長くとればとるほど損失が出るリスクを軽減できます。
十分な投資期間を取れる人は、つみたてNISAによる非課税の恩恵を受けつつ複利効果も享受できるため、メリットが大きいです。
具体的には、20~30代の方は十分な資産運用期間を確保できるため、つみたてNISAで長期間積み立てるメリットを最大限に活かすことができるでしょう。
つみたてNISAを成功させるためのコツ
つみたてNISAは優れた制度ですが、成功させるためのコツが存在します。
実際につみたてNISAを始める際には、以下で解説するコツを意識してみてください。
長期投資を意識する
つみたてNISAは「長期投資」を想定している制度なので、じっくりと資産運用に向き合うことが大切です。
長期間の投資であることを意識することで、目先の価格変動に惑わされずに済み、ストレスなく資産運用に取り組めるでしょう。
運用期間が長いほど複利効果を享受でき、利益が大きくなることから、長期投資を意識することはリターンの向上にもつながります。
暴落しても狼狽売りしない
株価が急落してしまった局面で、慌てて売ってしまうことを「狼狽売り」と言います。
狼狽売りすると、その後の回復局面でのリターンを取りこぼしてしまうため、非常にもったいないです。
短期間の投資であれば、損失を防ぐための損切りが必要になる場面もありますが、長期投資を前提にしていれば、狼狽売りする必要はありません。
資産の時価評価額が減少するのは気分が良いものではありませんが、「そのうち回復するだろう」と、余裕を持つことが大切です。
狼狽売りを避ければ、暴落局面から回復局面に入り資産が値上がりしたときに、大きな利益を狙えるでしょう。
コストの安い商品を買う
つみたてNISAを利用するにあたって「購入時手数料」は発生しませんが、購入した投資信託によって信託報酬を負担する必要があります。
信託報酬とは投資信託を保有するために払う手数料のことで、投資信託を保有している期間中は、ずっと払い続けることになります。
長期間保有することを考えると、継続的に発生するコストである「信託報酬」を無視するべきではありません。
たとえば投資信託を100万円分保有している場合、信託報酬0.2%と信託報酬2.0%の投資信託を比較すると、下記のような差があります。
- 信託報酬0.2%→2,000円/年
- 信託報酬2.0%→20,000円/年
1年間で18,000円もの差があり、保有期間が長くなるほど負担する手数料の差も大きくなります。
つみたてNISAで投資をする際には、コストに関する意識を持つことも重要と言えるでしょう。
まとめ:つみたてNISAには基本的にメリットが多い!
つみたてNISAは「やめたほうがいい」と言われることもありますが、基本的にはメリットが多い優れた制度です。
注意するべき点があるのも事実ですが、運用益が非課税になるなどメリットの方が大きいため、「やったほうがいい」と言えるでしょう。
実際に、つみたてNISAは国が設けて国民の資産形成を後押ししているため、有効活用するべき制度です。
つみたてNISAに興味がある方は、仕組みやメリットを理解して利用すれば、効率よく資産形成を進められるでしょう。